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2022.10.12

リサーチャーに聞く!#15 『2022年 食品メーカーのR&D戦略調査』調査のポイント

PRESS

FOOD & DRINK

第15回は、2022年7月8日に発刊した『2022年 食品メーカーのR&D戦略調査』です!国内の主要な食品メーカー24社を対象に、2021年度における研究開発方針・体制・研究開発費・研究開発成果・特許、産官学との提携状況などから多角的に分析した同レポートについて、弊社リサーチャーの佐藤 照穂にインタビューしました!

 

佐藤 照穂 プロフィール

リサ・リューション事業部 ソリューショングループ Health&Food
佐藤 照穂

—Profile—

2018年中途入社。前職の経験を活かし、加工食品に関連したレポートを広く担当。
2019年には一時的に医薬品関連のレポートにも携わり、他領域への知見を深める。
現在はHealth&Foodチームにて、研究開発や海外動向に関連したレポートを中心に担当している。
ボードゲームは二十年来の趣味。毎週水曜日のノー残デーは、行きつけのボドゲBarに直行。

 


―なぜ、今回食品メーカーのR&Dに関する調査を行ったのですか?

佐藤:食品企業の研究開発動向については業界全体でも注目度が高く、我々リサーチャーにとっても今後の動向を探っていく上で重要なヒントになっています。特に、2020年にはコロナ禍の影響でニューノーマルと呼ばれる新しいライフスタイルが浸透し、CVSや外食産業での消費にブレーキがかかりました。

2021年以降はこうした変化を経て、各企業の対応が進んでいますが、それぞれの企業がどのようなコンセプトをもとに商品開発や事業開発を進めているのか、変化の過渡期だからこそ重要な要素が観察できるのではないかと考え、調査を行いました。

 

―なるほど、そのような背景があったのですね。実際、コロナ禍以降の研究開発動向に変化はあったのでしょうか?

佐藤:今回の調査では24社の研究開発体制や開発費を調査しましたが、興味深いことにコロナの拡大した2020年度においても半数の企業が研究開発費を増資あるいは維持していました。業績がコロナ禍で伸び悩む企業もありましたが、そうした中でも研究開発に対する注力を続けた企業が多かったということです。中には前年度比で3割以上の増加となった企業もありました。

これについては、組織変更や事業買収による規模の変化なども関係していますが、それだけ多くの企業が研究開発体制の基盤作りに注力しているということでもあります。実際、2020年度には24社中17社で人員の拡充が行われ、前年度から人員が減少したのは3社のみでした。これらの体制は2021年度もほぼ継続状態となっていて、今後の研究活動がより活発化していくことが予想されます。

 

―食品メーカーの研究開発に対する注力度は高まっているわけですね。具体的にどのような研究が増加しているのですか?

佐藤:近年の研究開発で成果発表や技術開発の進んでいるテーマが、フレイル(高齢者の低栄養状態)対策を中心とした”高齢化社会への対応”と、SDGsに代表されるような”環境対策”の2点です。いずれも今後の社会に関係しているテーマで、エンドユーザーに対する認知も拡大しています。

前者については、2025年に国内人口の3割が65歳以上になるとも試算されていますので、そうした中で健康寿命を延伸しようとする取り組みが活性化しています。食品メーカーでは畜肉や水産加工食品を扱うメーカーがたんぱく質の機能性研究を進めており、予防医療の観点から臨床試験などが進められています。

後者については、数年前にスタートした環境施策の取り組みが実を結び、事業として実用段階に入っているものが多いです。例えば、水産加工食品のメーカーが取り組んでいる完全陸上養殖事業や、加工食品メーカーが取り組んでいる包装プラスチックを低減したパッケージ開発などです。また、油脂メーカーが取り組んでいる酸化しにくいオイルやプラントベースフードの改良なども、広い目でみればこの枠組みに含まれてきます。環境と一言に言っても、生産から流通、消費まで様々な取り組みがあり、各メーカーが自社の強みと結び付けた研究を進めているのです。

 

―ありがとうございます。各社で様々なアプローチがあるということですね… かなり難しそうです。
今回のレポートでは、それらの複雑な要素をどのようにまとめているのでしょうか?

佐藤:当レポートでは、メーカー各社の動向を”流れ”でご覧になって頂ける形にまとめております。
仰ったように同じ業界でもメーカーによって研究開発の方針は全く異なりますので、各社が”現在の状況をどのように捉え、そこに対してどのように働きかけようとしているか”という点が見えなければ、ただのデータ集になってしまいます。

当レポートでは、①各社の抱える目標と課題、②達成のための体制構築、③具体的なアクションとその成果、➃今後に予想される事業展開という4つの視点から研究開発活動を捉え、各社の事業戦略を見える化しました。そのため、単純な研究情報の収集以外以外にも、取引先メーカーのニーズ分析や業界のトレンド把握にも活用頂けるかと思います。

その分、弊社レポートの中でも1・2を争うボリュームになってしまいましたが(笑)

―なるほど、情報盛り沢山ということですね(笑) 最後になりますが、読者の皆様に一言ありましたらお願いします。

佐藤:各社の研究開発に関連した情報については、調査に時間がかかる点からなかなかご覧になる機会が無いというお話をよく伺います。当レポートをご活用頂くことで、情報を集め分析するお手伝いができましたら幸いです。弊社レポートは無料の試読サービスもございますので、是非この機会にご覧になって頂けたらと思います。

 

―貴重なお話しありがとうございました。今回インタビューしたレポートは絶賛発売中です。ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。

 

2022年 食品メーカーのR&D戦略調査
高齢化対策に向けた機能性素材の探求、環境負荷低減の技術研究が増加