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第109回は、2025年2月21日発刊の『2025年 ケミカルメーカーのライフサイエンス事業戦略調査』です!
ライフサイエンス事業を展開する国内の主要化学メーカー18社を対象に、化学産業におけるライフサイエンス事業の全体的な現状と今後の方向性を把握することを目的に、各企業の同事業における事業戦略を多角的に調査・分析した当レポートについて、弊社リサーチャーの中津啓揚に調査のポイントをインタビューしました!
中津啓揚 プロフィール
リサ・リューション事業部 リサーチグループ Chemical
中津啓揚
—Profile—
入社前まで、名古屋の自動車調査会社や東京のビジネス情報コンサルティング会社に勤務。
TPCに入社後は、生産財チームでケミカル分野の調査を担当している。
―なぜ、今回この調査を実施しようとしたのですか?
中津:大変にご好評をいただいた前版の2022年版から3年近く経ち、化学メーカーが手掛けるライフサイエンス事業は、現在大きな変革期を迎えています。
旭化成が、2025年以降にグループ会社の旭化成メディカルと旭化成ファーマの一部事業を売却するほか、三菱ケミカルグループも、同じくグループ会社の田辺三菱製薬を2025年に売却する方針を明らかにしています。
このほかの各化学メーカーでも、収益向上に向けて、体制の変更や事業ポートフォリオの再編を進め、収益性の低い事業の売却や非中核事業の整理を通じて、経営資源を成長分野へ集中させる動きが顕著となっています。
近年、ライフサイエンス分野は医薬品、バイオテクノロジー、再生医療など多岐にわたる領域で急速に成長を遂げています。特に、コロナ禍を契機に、ワクチンや治療薬の開発、バイオ医薬品の需要が高まりました。また、mRNA技術や遺伝子編集技術の進化により、次世代医療への期待が高まる一方、薬価の引き下げや規制の厳格化、研究開発コストの増大といった課題も浮上しています。
こうした状況において、私が担当する化学産業において、ライフサイエンス事業に注力するメーカーは多く、こうした状況を把握・分析する必要性を感じ、調査を実施しました。
―今回の調査で、何か新たな発見はありましたか?
中津:前回2022年調査では、経営計画において医薬品・医療機器領域いずれかを重点領域としている企業が目立ちましたが、今回調査では、再生医療やバイオ医薬品、CDMO(受託製造開発)を事業の中核に据える方針を打ち出す企業が多くなっています。
前回調査との比較で言えば、他社を買収する件数は減った半面、グループ会社や関連事業を売却する件数は増えました。また、外部との提携について、研究開発分野も増えましたが、特に生産に関する提携が増加しています。研究開発・生産コストの削減を目的とした提携だけではなく、化学メーカーによるCDMO事業が拡大していることも、この数値から明らかになりました。
また、今回調査対象とした18社のうち、4社が売上高で突出して業界をリードしていますが、そのうち2社は順調に成長を続けているものの、残りの2社は2023年度に大幅な売上減少となっており、事業経営の違いによって明暗が分かれています。
詳しくは、ご購入またはご試読でご確認いただければと思います。
―ライフサイエンス事業を展開するケミカルメーカーの現在の課題は何だと考えていますか?
中津:三菱ケミカルグループが田辺三菱製薬を売却することを決めたように、新薬の開発には莫大な研究開発費がかかるため、製薬事業の継続を見直す動きも見られます。
今回の調査結果で2023年度の売上高が前年度から減少した大きな要因の一つとして、販売額が大規模な医薬品の特許切れがあります。化学メーカーは、特許切れの医薬品に代わる新薬候補の研究開発を加速させるために、外部との提携強化や社内体制の整備を適切に進めていく必要があります。
また、化学メーカーは医薬品の原薬(API)や中間体の供給を主な事業としてきましたが、製薬企業の研究開発負担が増大する中、化学メーカーは原料供給者にとどまらず、創薬支援のパートナーとしての役割を強化する必要があります。これは化学メーカーにとって事業拡大のチャンスでもあり、今後は製薬企業との提携を深め、高機能材料の提供やバイオ医薬品向けの製造技術開発、CDMO事業の拡充などが求められます。
―今回の調査のここに注目してほしい!というポイントがございましたら、是非ともお聞かせください。
中津:調査対象の化学メーカー18社が現在展開しているライフサイエンス事業の売上高は、市場のほとんどを占めていると推測されますので、国内市場の規模および各社のマーケットポジションを確認することができます。
また、売上高のほかに各社の提携などの事業活動についても数値化し、グラフを用いて分析を加えておりますので各社の違いを視覚的に把握しやすくなっております。
今回取り上げた企業のうち、実際に購入されたお客様からは、自社の事業やマーケットポジションを客観的に把握できたとのご評価をいただいており、競合企業や取引先企業、さらには業界の動向を理解する上でもお役立ていただけます。各社の戦略を比較される場合は「総括分析編」を、企業の戦略をより詳しく把握されたい場合は「個別企業編」をご覧いただければと思います。
―本日は貴重なお話ありがとうございました。
さて、今回インタビューした「2025年 ケミカルメーカーのライフサイエンス事業戦略調査」レポートは絶賛発売中です。
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