第10回は、6月30日に発刊した『2022年 東南アジアの化粧品市場』です!コロナ禍でも成長を続ける東南アジア6ヶ国の化粧品市場について、対象各国の化粧特性や、現地企業および欧米・日系企業など海外企業の参入動向と展開ブランド、売上高、今後の展望などについて多角的に分析した同レポートについて、弊社リサーチャーの北口貴一に調査のポイントについてインタビューしました!
北口 貴一 プロフィール
リサ・リューション事業部 リサーチグループ Beauty
北口 貴一
—Profile—
2017年の入社時は医療用医薬品チームに所属し、市場・患者調査、セミナー講師などを行っていた。
2020年に化粧品領域の担当となって以降は、中国や東南アジアなど海外のマーケット市場の調査を中心に行っているほか、
化粧品原料・OEMのコンサル業務なども担当している。
趣味はパティスリー巡り、旅行、野球観戦(日本ハムと高校野球のファン)
―なぜ、今回「東南アジアの化粧品市場」の調査を実施したのですか?
北口:国内の化粧品市場が頭打ちするなか、近年海外事業の強化を掲げる日系企業が増えております。なかでも成長著しい東南アジア市場は中国に次ぐネクストマーケットとして、多くの企業様が進出を検討されておりますが、同地域は国別に市場特性や消費者ニーズが異なっているほか、世界でも目覚ましい経済発展を遂げているエリアの一つであることから市場の変化が早く、同地域に特化した新しい情報をまとめたレポートが欲しいとのお声を多く頂きましたので、3年ぶりに調査を実施することとなりました。
―急速に成長している東南アジアの化粧品市場では、現在どのような商品が注目されているのですか?
北口:伝統的に人気があり、現在でも若年層を中心にニーズが高い化粧品として、美白化粧品が挙げられます。BML運動など欧米では、ホワイトニングなどの表現を避ける方向に動いておりますが、同地域において色白であることは美人の条件の一つとして根強い人気を誇っているので、今後も美白化粧品市場は堅調に推移していくでしょう。ただし今までのように美白効果のみを重視する商品は、近い将来淘汰されていくと考えています。中国ではSNSが普及するにつれて”成分党”と呼ばれる層が現れましたが、彼女たちは機能や安全性の観点から化粧品を選ぶ際にどういった成分が配合されているかを重要視する傾向にあり、全ての配合成分をSNSや美容アプリなどで確認しています。中国に比べると、東南アジアではまだまだ化粧品の安全性に対する意識は高くないですが、例えばタイでは、近年中流階級層以上を中心に、化粧品の成分などに精通する消費者が増えており、肌に有害な美白成分への反発が一部で高まり始めています。こうした傾向は、徐々に他の国でも高まっていくことが予想されますので、今後は機能面だけでなく肌への安心・安全を訴求した商品へのニーズが拡大すると思います。
このほか東南アジア化粧品市場を語るうえで外せないのが、ハラル化粧品です。なかでも世界一のムスリム人口を擁するインドネシア、そして世界一厳格とされるハラル認証”JAKIM”を採用しているマレーシアでは、現地ブランドだけでなく海外ブランドもハラル化粧品市場に参入しており、今後も世界の同市場を牽引していくことは間違いないでしょう。もちろん、法規制や認証が厳格化しており参入障壁は低くありません。例えばインドネシアでは、2021年から段階的に化粧品のハラル認証義務化が進められており、日系企業もその対応に追われていると伺っています。ただ世界的にみると、ムスリムが多い国は概して人口増加率が高いので中長期的な視点でみると非常に魅力的な市場だと思います。
―では、現在の東南アジアの化粧品市場の課題は何だと考えていますか?
北口:最初の話の裏返しになるのですが、市場参入という視点でみると、市場の変化が早いということは現状の市場把握にくわえ、入念な将来予測が必要であるということです。以前お客様から、東南アジア市場に参入した時には既にトレンドが変わっており、機を逸したことがあると聞いたことがありますが、市場の動向はに常に着目しておくことが大事だと思います。
また日本でのマーケティング戦略をそのまま東南アジアにあてはめることができないのは言うまでもないですが、国によっても市場背景や商品トレンド、販売・流通チャネル、法規制は大きく異なります。これらも参入するうえでの課題になっていると思います。
―既に資料をご購入頂いているお客様からはどのような感想・評価をいただいていますか?
北口:日ごろから化粧品企業様にご相談頂く内容として多いものが、東南アジア事業を推進・開拓にあたって、「どの国に投資すればいいのか?」と「どんな商品を投入すれば勝てるのか?」ということです。もちろん各企業様によって、既存商品の導入を考えられている場合や、全く新しいブランドの勝負を考えられている場合など多様ですが、いずれにしても必要なのはまずは市場の環境を把握することです。日本とは生活や経済レベル、気候、インフラ環境、消費者トレンドなどが大きく異なる同地域では、国内市場と同じ手法で事業は行えませんが、本資料ではカテゴリー別の市場規模や伸長率、国別のキープレーヤーなどマーケティング戦略の策定に重要な項目が一通り網羅されているので、情報収集の効率化や社内向けプレゼン資料の作成に役立っているとの声を頂いております。
また本資料で市場環境を調査された後、個別調査として事業拡大のための戦略立案に関するご依頼が増えており、資料の作成担当としても嬉しく感じています。
―最後に、今回の調査のここに注目してほしい!というポイントがございましたら、是非ともお聞かせください。
北口:本調査レポートは、東南アジアの化粧品市場参入にあたって必要な情報を盛り込んでおり、参入市場やトレンド把握による投入アイテムの選定に欠かせない一冊に仕上がっております。また原料・OEMメーカー様には、化粧品企業様への提案資料としてお使い頂けるかと思います。
日本に比べると多くの国で治安面や政情面でリスクを孕んでいることは否めないものの、それらを差し置いても東南アジアの化粧品市場は魅力に溢れています。
本レポートがみなさまの東南アジア事業の拡大の一助となれば嬉しいですね!
―貴重なお話しありがとうございました。今回インタビューしたレポートは絶賛発売中です。ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。