第13回は、2022年8月19日に発刊した患者調査レポート『潰瘍性大腸炎の患者調査』です!
潰瘍性大腸炎の治療で医療機関を受診・服薬している482人を対象に、医療機関を受診するまでの症状や受診状況、活動期および寛解期における薬物治療の実態・評価、治療管理アプリの使用状況、オンライン診療のニーズ、新しい治療薬(飲み薬、皮下注射薬、点滴静注薬)に対するニーズ等を集計・分析した同レポートについて、弊社リサーチャーの森惠佑に調査のポイントについてインタビューしました!
森 惠佑 プロフィール
リサ・リューション事業部 ソリューショングループ Medical
主任 森 惠佑
—Profile—
2014年の入社当時から、医療用医薬品分野でマーケット調査を担当。
現在は同領域において、様々な疾患についての患者調査レポートを
複数のテーマを発刊している。
―今回、潰瘍性大腸炎がテーマですが、どのように治療するのでしょうか?
森:はい、潰瘍性大腸炎は、国内で推定15万人以上の人が診断されている指定難病ですが、適切な治療を施せば、日常的な生活を営める時間を長くすることができる疾患です。例えば今回調査した482人のうち、いま現在寛解期(症状が治まっている状態)の人は8割近くにのぼっています。
治療法としては、薬物療法、血球成分除去療法、大腸の摘出/切除手術などがありますが、基本的には薬物療法が用いられます。そのため、今回の調査も薬物療法に重点を置いたものとなっています。
薬物療法に用いられる薬剤の種類は、5-ASA製剤、ステロイド剤、免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害剤など様々です。さらに、今年(2022年)からは、α4インテグリン阻害剤も新たに加わりました。また、薬剤の剤型をみると、飲み薬、点滴静注薬・皮下注射薬、坐剤・注腸製剤とこちらも多彩です。
―使われる薬剤にいろいろな種類・剤型のものがあるということで、薬剤を提供する製薬メーカー様側からの関心も大きそうな疾患ですが?
森:はい。関心を持っていただける製薬メーカー様は多く、前回版(2020年度版)は患者調査の中でも指折りに多くのご注文をいただきました。
定期的にリニューアルしてその関心にお応えしていこうということで、前回版から2年近く経過したこともあり、このたび新たに調査を実施した次第です。
―今回の調査で、何か新たに明らかになったことはありましたか?
森:根治療法は確立されていないものの、適切な治療により症状をある程度コントロールできる疾患なこともあり、薬物療法まわりでは大きな変化は見あたりませんでした。
例えば、薬物療法の主軸である5-ASA製剤の飲み薬は、前回同様に活動期・寛解期ともに9割以上の人が使っていました。また、生物学的製剤の使用経験者が全体の約15%というのも、前回とほぼ変わらない数値です。
一方で、今回からオンライン診療に関する調査を盛り込んでいます。オンライン診療の利用経験者は全体の1割に満たない結果となったのですが、利用経験者のうちの9割以上は今後も利用したいと表明しました。さらに、利用経験の無い人の方をみても、そのうちの4割を超える人が今後利用してみたいと回答しており、リモートでの診療が浸透していく未来が想定できます。
―今回の調査の注目ポイントがございましたら、是非ともお聞かせください。
森:既存の薬物療法や従来の対面での診断にとどまらない、治療・診断の幅を拡げる新たな手法について、調査結果を盛り込みました。具体的には、いま先ほどお話ししましたオンライン診療があてはまりますが、これに加えてインターネットから取得できる治療管理アプリの利用経験や利用意向についても調査しました。
実際にオンライン診療や治療管理アプリを利用している患者さんはまだわずかですが、今後は利用したいという意見が多く出ましたので、この調査結果には要注目です。
―貴重なお話しありがとうございました。今回インタビューしたレポートは絶賛発売中です。ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。