第27回は2022年11月14日に発刊した『2022年オーガニック・ナチュラルコスメの市場分析調査』です!オーガニック・ナチュラルコスメ市場に焦点を当て、その市場動向を主要企業別、ブランド別、チャネル別、分野別、カテゴリー別、種類別などさまざまな角度から徹底分析した同レポートについて、弊社リサーチャーの池本 マーシャに調査のポイントについてインタビューしました!
池本 マーシャ プロフィール
リサ・リューション事業部 リサーチグループ Beauty
池本 マーシャ
—Profile—
2017年の入社当時から化粧品分野でマーケット調査を担当。
主にスキンケアやヘアケアなどに関する市場レポートの作成に携わっており、お客様からご相談をいただくことも増えている。
化粧品検定1級を取得し、コスメコンシェルジュの資格も持っている。
―なぜ、今回オーガニック・ナチュラルコスメに関する調査を行ったのですか?
池本:昨今、SDGsへの社会的関心が高まっていると思いますが、オーガニック・ナチュラルコスメブランドというのは、植物由来の成分を使用しており、持続可能な原料調達やフェアトレードなど、ブランドの誕生時からサステナビリティを重視したものが多くあります。さらに、原料や成分だけに留まらず、生産プロセスにおいても環境負荷を低減することに取り組んでいる証明として様々な認証を取得しているブランドもあり、これまで貫いてきたこうした信念や企業努力に、今目が向けられていると感じたからです。今後の同市場における戦略として何が重要になってくるのか、各社の動向を分析すれば見えてくるのではないかと考え、調査を行うことになりました。
―なるほど、そのような背景があったのですね。実際、コロナ禍以降の市場に変化はあったのでしょうか?
池本:オーガニック・ナチュラルコスメブランドは、百貨店や路面店などの店販がメインなので、やはりコロナ直後は苦戦を強いられるブランドが多くありました。しかし、同市場はヘアケアとボディケア分野が大きく、需要が激減したメイクカテゴリーが元々小さかったことや、インバウンド需要が高いスキンケアにそこまで依存していなかったことから、落ち込み幅は比較的低く抑えられています。
また、2021年については好調な推移を遂げています。コロナ禍を経て、消費者の価値観は健やかさや心地よさ、地球へのやさしさなど、よりサステナブルなライフスタイルへと変化しています。こうした変化に各企業の対応が進み、必須となったECでの施策が奏功したブランドも多かったことが寄与したと考えています。特に、デジタルマーケティングを強化し店舗とECのシームレスな繋がりを意識したロクシタンジャポンは、顧客のファン化に成功しており、売上を順調に伸ばしています。またシロは、話題性のある新商品を毎月発売するなど、目新しさを与える戦略によりファンを増やし、大きく成長を遂げています。さらに資生堂は、“森林浴美容”といった新たな発信を強化したことでギフト需要を獲得し、顧客の裾野が拡大しました。
―各社のマーケティング戦略により、2021年は市場規模が拡大したのですね。
具体的にどのような商品が増加しているのですか?
池本:コロナ禍では、手洗い・消毒の増加により、ハンドウォッシュやハンドジェルなどの商品が一気に増えました。また、在宅時間の増加により、ボディスクラブや入浴剤などが人気となったことで、分野別でみるとボディケアが大きく成長しました。自粛ストレスの緩和やおうち時間の充実を図るため、”香り”による心身の癒しを求める人が増えたと思いますが、今述べた商品においても、こうした”香り”の面で選ばれるケースが増加したとみられます。
一方、スキンケアでは、目元ケアやナイトケア、ゆらぎ肌ケア、オイルケア、ミストケアの提案が増えています。このうちナイトケアは、ヘアケアにおいても訴求している商品がみられ、同市場に限らずですが、”眠っている間にケアする”というニーズが高まっていると感じます。
このほか、パッケージをよりエシカルでサステナブルな仕様のものにする動きが加速しており、ザボディショップジャパンの「ザボディショップ」はコミュニティフェアトレードで調達した資源を採用することで生産者の生活を長期的にサポートしたり、資生堂の「BAUM」はアップサイクルした木材を採用することで、環境負荷の低減に貢献しています。
―生活スタイルの変化にマッチした商品が増えているのですね。パッケージにおける各社の工夫も興味深いですね。
今回の調査のここに注目してほしい!というポイントがございましたら、是非ともお聞かせください。
池本:販売方法分析の項目があるのですが、各社の販売戦略がとても参考になると思いましたので、ぜひ見ていただきたいですね。例えば、カウンセリングチャネルについては、『対面接客レス』を実現した店舗がみられ、“対面接客は受けたくないが実物を見て選びたい”といった顧客ニーズに対応しています。また、通販チャネルについては、『定期便の導入』や『バーチャルストアの導入』、『外部通販サイトへの出店』を図る企業が増加しており、購買方法の多様化が進んでいます。
また、販促活動としては、LINEを活用した戦略や会員制度といったパーソナルに利用できる特別感のあるサービス提供、店舗への来店誘導など、各社の様々な施策をまとめているので、面白いのではないかと思います。
―なるほど、では販売方法分析の項目は必見ということですね!
最後になりますが、読者の皆様に一言ありましたらお願いします。
池本:化粧品業界全体でも、サステナビリティ重視のブランディングを意識する動きが高まっているのですが、オーガニック・ナチュラルコスメブランドはその先駆けとして以前から取り組んできたと思います。ただ、サステナビリティだけでなく、様々な肌悩みを解決できる機能性も兼備した化粧品がニーズとして求められています。当レポートでは、市場の動向・ポイントをまとめていますので、今後の展開を考えられている方は、ぜひご活用いただけましたら幸いです。また、無料の試読サービスもございますので、まだ一度も資料を見られたことがない方も、過去の資料をご購入頂いた方も、少しでもご興味ある方は是非ご連絡をお待ちしております!