第35回は2022年11月30日に発刊した『2023年 化粧品企業のR&D戦略』です主要化粧品企業のR&D戦略を、組織体制、R&D費・人員、注力テーマ、特許、産学官との提携状況、海外市場への対応などから多角的に分析した当レポートについて、弊社リサーチャーの古村和恵に調査のポイントについてインタビューしました!
古村 和恵 プロフィール
リサ・リューション事業部 リサーチグループ Beauty
古村和恵
—Profile—
担当者 プロフィール
2021年の入社当時から化粧品分野でマーケット調査を担当。
英語レポートの作成等もしている。
趣味は美術館めぐり、読書、ブローチ集め。
―なぜ、今回化粧品市場のR&D戦略に関する調査を行ったのですか?
古村:近年、化粧品業界では製品の安心・安全性はもちろんのこと、肌への効果実感を伴う機能性や、より心地よいテクスチャーを求める消費者の声が高まっており、各社はさまざまな分野においてイノベーティブな研究開発を求められています。
また、ここ数年はコロナの影響で新たな肌悩みが聞かれるようになった一方、長期に渡ってメイクアップ需要が落ち込むなど、市場全体が大きな変化にさらされ、消費者ニーズの把握が難しい状況でした。
このような中、国内に研究所を持つ大手化粧品メーカーの研究開発に着目し、そのコンセプトや方向性について把握することは、今後の国内の化粧品動向を探る上で非常に重要だと思い、調査に着手しました。
―なるほど、そのような背景があったのですね。
今回の調査では、まず研究開発全体を通して、どのような新たな発見がありましたか?
古村:今回のレポートでは、副題を『最先端技術で切り開くサステナビリティ・パーソナライズ・ウェルビーイング研究』としていますが、この3テーマについては近年、各企業がさまざまな方面から研究開発に取り組んでいることもあり、今後ますます重要性を増していく見通しになっています。
サステナビリティに関しては、近年多くの企業が環境負荷の少ないサステナブル原料の新素材探索や、水資源に配慮した処方開発などに注力し、R&Dにおける重要課題の1つに掲げています。世界を見渡しても、地球環境や持続可能性に配慮した製品開発が重視されていることから、今後もこのトレンドは加速していくと考えられます。
また、パーソナライズに関しては、AI技術や肌解析技術、各社が保有する肌解析のビッグデータなどの活用により、化粧品市場においてパーソナライズ製品を提供する環境が整いつつあると言えます。近年では、パーソナライズを謳うD2Cブランドも増えていますし、店頭での肌カウンセリングや、スマホアプリでの肌解析など、消費者にとって自分の肌を客観的に知るための選択肢が増えており、化粧品選びがより個人志向になっていく可能性があるとみられます。
さらに、ウェルビーイングに関しては、近年化粧品市場においてはますます”健康美”への志向が高まっており、これを受けて各社は化粧品の枠を超え、心身ともに健康的で満ち足りた美へのアプローチを強化しています。具体的には、、サプリメントを始めとする健康食品の開発や、生活習慣や運動習慣、疲労、ストレスなどをサポートするアプリの提供などを行っており、今後もその動きは活発化していくと予想されます。
―では、スキンケアやメイクアップなど、化粧品のテーマごとにはどのような発見がありましたか?
古村:レポートでは、スキンケア、メイクアップ、ヘアケア、その他の領域における主要なテーマを21に分類して取り上げています。例えば、最も研究が盛んなスキンケア領域では、抗老化、美白、保湿、肌荒れ・敏感肌、毛穴、ニキビといった、主要なテーマを広くカバーしています。
例えば、抗老化研究では肌解析技術の進化により、肌老化の仕組みを解析する試みに注目が集まっています。近年の傾向としては、シワ発生に加えて、たるみ発生や、光老化のメカニズムなどに着目するものが多くなっています。
また、コロナ禍でマスク着用が常態化し、目元ケアへの関心が高まったことを受けて、目周りの老化に関する研究も増えています。
さらには、老化抑制にアプローチする成分についての研究が非常に活発化しており、各社は表皮再生や真皮構造の維持、老化因子の抑制などに効果のある成分を開発することで、自社のアンチエイジング製品の差別化に注力しています。
すべてのテーマをここでご紹介することは難しいので、ご関心のあるテーマがありましたら、是非ご試読していただき、ご検討いただけますと幸いです!
―このレポートは400頁あり、弊社のレポートの中でもかなりボリュームがある方なので、是非読んでいただきたいですね。
特に主要企業の研究情報が膨大ですが、レポートの読みやすさの工夫などはされたのでしょうか。
古村:主要テーマの各ページでは、近年の傾向、主な研究成果、主な製品を1ページにまとめて解説していますが、各研究の詳細に飛ぶリンクを貼り、PDFでの読みやすさを工夫しました。また、書籍に関しても、研究ごとに企業名と研究年を記載していますので、そちらで検索していただけるようになっています。
また、主要企業の研究開発動向を一覧にした表も作成しています。表では、企業別に研究テーマを列記し、研究分野ごとに分類しておりますので、知りたい分野の研究を検索していただくのに便利な表となっています。言葉では伝わりにくいので、実際に見ていただけると嬉しいです!
―なるほど。R&D全体の動向を知るだけでなく、主要な研究の検索や、各研究の詳細を知るための資料としても、役に立つということですね。
最後になりますが、読者の皆様に一言ありましたらお願いします。
古村:近年の化粧品R&Dはイノベーションの創出が求められ、各社は新たな価値を持つ商品の開発に注力しています。化粧品R&Dは今後の化粧品市場のトレンドを知る上で、非常に重要な分野であり、研究開発担当の皆さまはもちろんのこと、マーケティングや営業担当の方などにも広く関わるテーマだと思います。少しでもご興味、ご関連がございましたら、是非、弊社の無料試読サービスをご利用ください。お気軽にご連絡いただけますと幸いです。
―貴重なお話しありがとうございました。今回インタビューした調査レポートは絶賛発売中です。ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。