第回は、2023年1月18日に発刊した『2023年 昆虫食市場の最新動向と将来展望』です!国内昆虫食市場の動向を参入企業の取り組みと市場規模の観点から分析した同レポートについて、弊社リサーチャーの佐藤 照穂にインタビューしました!
佐藤 照穂 プロフィール
リサ・リューション事業部 ソリューショングループ Health&Food
佐藤 照穂
—Profile—
2018年中途入社。前職の経験を活かし、加工食品に関連したレポートを広く担当。
2019年には一時的に医薬品関連のレポートにも携わり、他領域への知見を深める。
現在はHealth&Foodチームにて、研究開発や海外動向に関連したレポートを中心に担当している。
ボードゲームは二十年来の趣味。毎週水曜日のノー残デーは、行きつけのボドゲBarに直行。
―なぜ、今回、昆虫食の市場を調査したのですか?
佐藤:昆虫食は近年になって様々な観点から注目されています。
ですが、そのトレンドは一過性のものなのか、今後の食品市場全体に関わる重要なものなのかという点が、これまでの情報だとあまり見えてこない気がしていました。実際、食品企業のご担当者様に伺っても、どういう市場性なのか掴みかねている…という印象だったのです。
私自身は過去に似たような新領域の調査を行った経験もありましたので、そういった新規性の高い市場の将来を明らかにすることで、お客様の事業戦略に役立つのではないかと思いましたね。
―なるほど、そのような背景があったのですね。
今回の調査で明らかになったポイントはなんだったのでしょうか。
佐藤:まず、昆虫食市場は現状だとまだニッチな領域である…ということです。
その主な理由は、国内外における原料供給が少なく、関心を持つメーカーが増えても十分な原料が市場に出回っていないということにあります。だから原料価格も増加する傾向にあり、手を出すメーカーがさらに少なくなるという構図になっているのです。
ただし、この課題については現在進行形で参入各社が改善に向けた努力を続けており、近いうちにコスト的な問題が改善される道筋が見えている、ということもわかりました。
海外の原料や商品はコロナ禍やウクライナ侵攻などの影響でまだまだコスト的に厳しい側面がありますが、国内で生産体制を確立しようとしている企業にとって、この状況は追い風になっています。市場の成長率も非常に高く、今後のさらに拡大していく見込みのある市場です。
―今後の市場成長が期待できるということですね。
では昆虫食市場では、どのような商品が主流となっているのでしょうか。
佐藤:現在、品目数が多いのは海外からの輸入製品です。これらの商品は以前から一部のECサイトなどで取り扱われていましたが、いかにも「昆虫」という外見をアピールした外見未加工の商品がほとんどでした。
しかし、2020年に国内では良品計画、敷島製パンなどの大手企業が参入して潮目が変わっています。
当時はコオロギを粉末状に加工した原料が徐々に知られるようになった時期で、それをパンや菓子類に配合することで、ライトユーザーでも手に取りやすい商品が登場しました。また、大手が昆虫食の環境価値などをPRしたことで、昆虫食に対する認知自体が拡大しています。
これらのライトユーザー向けの製品は、品目数こそまだ少ないですが、昆虫食を牽引するブランドに成長しているのです。
―新規の商品が登場したことで市場が拡大しているわけですね。
今後の昆虫食市場は、どのようになっていくのでしょうか?
佐藤:昆虫食と関連が深いのは、やはり”環境保護”という考え方になりますが、この点だけを訴求していくのは日本では難しいのではないかと思います。
ご存じの通り、日本社会は高齢化が進んでいます。地球環境とこれから付き合っていかなければいけない若年層よりも、もっと”切実な現在”に着目している中高年層の方が多い。こうした層にアプローチしていくための訴求も、環境と同じくらい考えていかなければならないのではないでしょうか。
例えば、コオロギは昆虫の中でも豊富なたんぱく質と不飽和脂肪酸など、健康素材としても非常に有用な成分を含有していることがわかっています。高齢化社会における最大の関心は、やはり自身や家族に関する”健康”ですので、こうしたニーズにアプローチしていくことで、幅広い世代に受け入れられる土壌が出来ていくと思います。
―ありがとうございます。
最後に、この分野にご興味を持たれた皆様に向けて、コメントをお願いします。
佐藤:昆虫食について、”一体どのようなユーザー層に受け入れられているのか?” ”この市場は今後も伸びていく市場なのか?” ”参入すべきなのか?” 等々、判断をつけるのが難しいお客様もいらっしゃるかと思います。
そうした新規の市場性を考慮する際に当レポートを参考にして頂き、より良い事業計画のための一助として頂けますと幸いです。
―貴重なお話しありがとうございました。今回インタビューしたレポートは絶賛発売中です。ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。