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2023.11.02

リサーチャーに聞く!#65 『2023年 世界の治療用放射性医薬品市場』調査のポイント

PRESS

MEDICAL PHARMACEUTICALS

第65回は、2023年10月27日発刊の『2023年 世界の治療用放射性医薬品市場』です!
日・米・欧の治療用放射性医薬品市場について地域別および分類別市場分析と2030年度および2035年度の市場予測を行った当レポートについて、弊社リサーチャーの安田俊に調査のポイントについてインタビューしました!

 

安田俊 プロフィール

リサ・リューション事業部 リサーチグループ Medical
安田俊

—Profile—
2019年の入社後、ケミカル分野で主に市場調査を担当。
現在は、医薬品領域において製薬企業のR&D戦略や抗体医薬品、再生医療などの調査を行ったほか、
昨年は核酸医薬品に関する市場調査を実施した。
趣味はサッカーで、休みの日によくフットサルに参加している。

 


―なぜ、今回の調査を実施しようとしたのですか?

安田放射性医薬品は放射性同位元素(RI:ラジオアイソトープ)を用いた医薬品を指し、治療用と診断用に分かれています。このうち治療用の放射性医薬品は、放射線の生物学的作用を利用して癌の治療に用いられ、研究開発においては大手製薬企業が参入するなど、グローバルで研究開発が活発化しています。また、治療と診断を一体化した「セラノスティクス」の実用化により精緻な治療に注目が集まっています。そこで、現状と今後の市場予測を探るため調査を実施いたしました。

―今回の調査で、明らかになったことは何ですか?

安田:治療用放射性医薬品を対象に調査した結果、2022年度における世界市場は前年度比51.2%増で拡大しています。
また、α線、β線の分類別にみると、β線が圧倒的に大きく全体の8割近くを占めており、具体的にはLu-177を標識した「Lutathera」「Pluvicto」が米国を中心に市場拡大に寄与しています。一方、α線はRa-223を標識する「Xofigo」が米国および欧州で需要減少により横ばい推移しています。しかし、新たな核種を標識した開発品が米国、欧州を中心に後期段階に進んでおり、長期的にみると市場は成長基調に乗ると予想されます。

 

―なるほど、新たな核種を標識した開発が注目されているのですね、今後の市場についてはどのように推移すると予測されておりますか?

安田2035年度の治療用放射性医薬品の市場規模は2022年度の6倍以上に拡大すると予測しています。β線は、引き続き「Lutathera」「Pluvicto」を中心に市場拡大が予想されるほか、前立腺癌や神経内分泌腫瘍を対象とするLu-177を標識した開発品が後期段階に進んでいることから、新薬上市でさらなる成長が見込まれます。また、α線は新たな核種Ac-225やPb-212を標識した開発品が米国、欧州を中心に後期段階に進んでおり、2030年度までの上市が予想されます。

 

―なるほど、今後の開発動向にも注目したいですね。最後にこの資料に興味を持たれている方に一言お願いします。

安田近年では、治療時には治療用RI、診断時には診断用RIで標識することで、ベースとなる抗体やペプチドなどの薬剤を変えずに治療と診断を行う「セラノスティクス」に注目が集まっています。今後の医薬品市場のトレンドを知る上で非常に重要な分野であり、すでに参入している方はもちろん、まだ参入をされていない製薬メーカー様、ケミカルメーカー様にも治療用の放射性医薬品の動向を見ていただきたいと思います。
本調査に関しまして、少しでもご興味・ご関心をお持ちいただけた際には、ぜひ当レポートをご試読・ご検討いただけましたら幸いです。

―本日は貴重なお話しありがとうございました。
今回インタビューした「2023年 世界の治療用放射性医薬品市場」レポートは絶賛発売中です。ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。

 

『2023年 世界の治療用放射性医薬品市場』