第73回は、2024年1月22日発刊の『2024年 農薬メーカーの事業動向・戦略調査』です!
農薬主要メーカー17社を対象に各社の農薬事業、主要各社の製品展開、農薬登録状況、事業体制、農薬事業売上高、主要提携状況、今後の展開等について調査・分析した当レポートについて、弊社リサーチャーの天野洋介に調査のポイントをインタビューしました!
天野洋介 プロフィール
リサ・リューション事業部 リサーチグループ Chemical
主任 天野洋介
—Profile—
入社当時から、Chemical分野での調査を担当している。
これまでに、医薬品原薬・中間体、肥料・土壌改良材、界面活性剤等の調査を行った。
最近では、農薬や農業技術/ビジネス等のアグリ関連の調査に注力している。
趣味はライブ観戦とギター演奏。学生時代からMr.Childenの熱狂的なファンであり、ライブも頻繁に行っている。
―なぜ、今回この調査を実施しようとしたのですか?
天野:弊社では元々、「農薬メーカーの事業動向・戦略調査」を定期的に実施しており、今回は、そのリニューアルとなります。近年、国内農薬市場は横ばい推移となっており、停滞している状態となっております。それに加えて農林水産省は、持続的な農業生産を継続するため「みどりの食料システム戦略」を策定しました。その戦略では、「化学農薬使用量(リスク換算)の低減」を掲げ、2050年までに50%低減する目標を設定しており、化学農薬を主軸としている国内農薬メーカーは今、転換期を迎えております。この重要な時期に主要農薬メーカーがどのような戦略を展開していくのかを調査することに大きな意義があると思い、本調査を開始しました。
―わかりました。では、今回の調査について、どのような仮説をお持ちですか?
天野:国内の化学農薬は上記の戦略により使用量制限がかかるため、今後は環境に優しいサステナブル農薬が台頭していくのではと仮説を立てておりました。実際に私の仮説通り、主要農薬メーカーは従来の化学農薬よりも毒性が低い製品の研究開発や生物農薬の製品展開を活発化させておりました。ある企業では、低環境負荷の製品を「グリーンプロダクツ」と命名して、天然由来製品として拡販を行っております。また、ある企業では、天然由来の農薬を「バイオラショナル製品」として定義し、サステナブルな農業に貢献する農薬のR&Dを推進しております。今後もより一層、サステナブル農薬が国内で浸透していくことが予測されます。
―なるほど、農薬においても環境を考えた製品が注目されているのですね。それでは、今回の調査で明らかになったことは何ですか?
天野:主要農薬メーカーが私の予想以上に海外展開を注力させていることが新たな発見でした。横ばい推移の国内農薬市場とは違って世界の農薬市場は、世界的人口増加等を背景に伸長しております。実際に多くの農薬メーカーが海外売上高において、前年度を大きく上回っております。世界人口第一位のインドや、農業大国のブラジルを農薬成長市場と位置づけ、主要各社は製造拠点の設置や現地販社との協業で農薬を拡販する等、動きを活発化させています。
また、単に農薬を販売するだけでなく、スマート農業とのトータルソリューションを提供することを事業戦略としている企業が多くあることも明らかとなりました。例えば、ドローンとAIを活用した農薬の「ピンポイント散布」を行うことで、最小限で最大の効果を示すソリューション等が現実化しており、こういった技術・システムが普及しております。今後も欧州農薬メーカーの日本法人を中心に農薬の適量使用と、農家の収穫向上を両立するソリューションを展開していくことが予測されます。
―そうですか。農薬の需要が多い海外に積極的に販売することも重要な戦略のようですね。また、農薬と技術・システムを含めたソリューションも今後、重要ですね。では、最後に一言お願いします。
天野:本調査では、「みどりの食料システム戦略」に対応するための主要各社の戦略をまとめたレポートとなっております。主要各社が国内でサステナブル農薬に注力するのか、または、海外に軸足をおいて事業展開するのか等の具体的な戦略を掲載しております。農薬メーカーの方には是非ともご覧になっていただきたいレポートとなっております。また、農薬メーカーに限らずケミカルメーカーの方にもご試読・ご検討いただけますと幸いです。
本調査に関しまして、少しでもご興味・ご関心をお持ちいただけた際には、ぜひ当レポートをご試読・ご検討よろしくお願いいたします。
―本日は貴重なお話ありがとうございました。
さて、今回インタビューした「2024年 農薬メーカーの事業動向・戦略調査」レポートは絶賛発売中です。ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。