第76回は、2024年2月29日発刊の『2024年 美白スキンケアの市場分析調査』です!
今日の化粧品のなかでも特に関心の高い美白化粧品(スキンケア)に焦点を当て、その市場動向をブランド別、種類別、成分別、価格帯別などさまざまな角度から徹底分析した当レポートについて、弊社リサーチャーの古村和恵、池本マーシャ、中川美貴子に調査のポイントをインタビューしました!
古村和恵 プロフィール
リサ・リューション事業部 リサーチグループ Beauty
古村和恵
—Profile—
2021年入社。化粧品分野での調査を担当し、英語での資料作成や海外調査も行う。
お客様の課題解決のため、わかりやすい説明と読みやすいレポート作りを心がけている。
美術館めぐり、読書、ブローチ集めが趣味。最近は「眠活」に取り組んでいる。
池本マーシャ プロフィール
リサ・リューション事業部 リサーチグループ Beauty
池本マーシャ
—Profile—
2017年の入社当時から主にスキンケアやヘアケアなどに関する市場レポートの作成に携わっている。
化粧品検定1級を取得し、コスメコンシェルジュの資格も持っている。
趣味は音楽鑑賞とカフェでゆっくりすること。
中川美貴子 プロフィール
リサ・リューション事業部 リサーチグループ Beauty
中川美貴子
—Profile—
2023年に入社後、化粧品分野で主に化粧品のマーケット調査を担当。
趣味は音楽鑑賞。ロックとアイドルを中心に、幅広いジャンルのライブに足を運ぶ。
入社後、プチプラコスメ収集にもハマっている。
―なぜ今回、美白スキンケア市場に関する調査を行ったのですか?
中川:2023年は新型コロナウイルスの5類移行や、マスク着用のルール緩和などを受けて外出やレジャー機会が増加していることから、美白スキンケアの需要が高まっているとが予想されました。また、近年は美容医療への関心や肌への効果が高いスキンケアを使いたいという消費者の意向から、化粧品成分への注目が高まっているとみられています。
このような背景のなか、コロナ禍から現在、そして今後の美白スキンケア市場の推移とトレンドをレポートすることは有意義だと考え、調査を実施することとしました。
―なるほど、そのような背景があったのですね。
2023年の美白スキンケア市場について、調査前はどのような仮説をもっていたのですか?
池本:2020年にコロナが蔓延したことで外出機会が減少し、美白スキンケア市場はダウントレンドとまではいかないものの、従来のような活気はなくなりました。また同年にアメリカで起きた黒人差別への抗議運動を契機に、外資化粧品メーカーのユニリーバやロレアルなどは「ホワイト」といった言葉を使用しないことを表明しました。こうした動きから、世界的には美白製品への関心が低下しています。
そして国内においても、花王が2021年に「美白」表現の撤廃を発表し、新商品発売や既存品リニューアルのタイミングで表記を削除することで人種の多様性に配慮するなど、商品名では「ホワイトニング」ではなく「ブライトニング」を使用する動きがみられます。
一方で、弊社の「アンチエイジング化粧品の市場分析調査」で分析しているのですが、”シワ改善コスメ”の市場が拡大しており、シワ改善と美白の両方の効果のある『ナイアシンアミド』を配合した商品が急増しています。
こうした市場環境の中、調査前の仮説として、「美白だけで戦えるのか?美白×シワ改善じゃないと難しいのか?」を明らかにしたいという思いがありました。
―実際に調査をして、結果はどうでしたか?明らかになったことは何ですか?
池本:商品名については、調査しているとやはり「ブライト」を使用しているケースが多くなっていましたね。例えば、「アルビオン」から出た美白シリーズでは「フラルネブライトライン」になっていますし、「オルビス」の「オルビスホワイト」シリーズは「オルビスブライト」に変更しています。
また、「美白だけで戦えるのか?美白×シワ改善じゃないと難しいのか?」については、結論としては、いずれでも戦えると言えます。発売当初より”美白”で戦っている「HAKU」や「ホワイトショット」は、2023年はユーザーから受け入れられ好調となっていますし、一方“美白×シワ改善“を謳う「パーフェクトワン」や「ワンバイコーセー」も顧客ニーズを獲得し、売上を伸ばしています。
大事なことは、展開するタイミングや期待の醸成、ブランディングだと思います。例えば、美白化粧品に注目が集まるのはやはり3月頃からです。ですので発売のタイミングが夏以降の場合は、売上を伸ばしにくくなります。また発売時には、美容雑誌などに取り上げられるようにしたり、イメージキャラクターを起用したりして、発売前から認知を高めていく戦略を打つことが重要かなと考えています。
―具体的に、近年どのような商品が増えているんですか?
中川:近年の動向としては、すでに触れましたが“美白×シワ改善“を謳う商品が増えています。例えば、「オルビス」の「リンクルブライトセラム」や、「グレイスワン」の「リンクルケア ホワイトモイストジェルクリーム」などは『ナイアシンアミド』を配合し、商品名に”リンクル”と銘打つことで、シミとシワ両方の悩みを持つ消費者への訴求を強化しています。
また、”美白×毛穴” や“美白×抗炎症”といったアプローチも人気があり、全体的に“美白ケア+α”を打ち出す商品が増え、注目されています。代表的な例では、「メラノCC」が挙げられます。このブランドは『ビタミンC』をコンセプト成分とし、しみ・そばかすに加えて毛穴やニキビ跡といった様々な肌悩みをカバーすることで、近年売上を伸ばしています。
さらに、新規有効成分に関する動向も注目です。2024年3月には、「雪肌精」が日本で初めて美白と肌荒れ防止のW効能の承認を得た有効成分『W-グリチルレチン酸ステアリル』を配合し、同ブランドの主力化粧水を刷新します。これにより、成分人気の市場傾向が加速する可能性もあり、今後の動向が気になるところです。
このような調査結果から、現在の美白スキンケア市場を、有効成分によるシェア獲得競争が激化していると捉え、レポートの副題を”ビタミンC、ナイアシンアミド、新規有効成分など、 成分推しの商品が市場の拡大を牽引”としました。
―なるほど!
最後に、今回の調査のここに注目してほしい!というポイントがございましたら、是非ともお聞かせください。
古村:今回のレポートでは、大きく2つの点をリニューアルしています。1つ目は、調査対象を”企業単位”から”ブランド単位”に変更したことです。これにより、今まで着目できていなかった企業のブランドや、新興ブランドについてもカバーできるようになり、売上トップ10に入るすべてのブランドの個別分析を掲載することができました。例えば、ベンチマークブランドや近年好調なブランドについて知るなどの競合分析にもお使いいただけますので、ご活用いただけると嬉しいです。
2つ目は、新たな市場分析の試みとして、美白スキンケアの『価格帯別』『種類別』市場をより細かく見ていただけるよう、『価格帯別における種類別販売構成』(低価格帯~超高価格帯別で分類し、どのアイテムが売れているのか)と、『種類別における価格帯別販売構成』(アイテム別で分類し、どの価格帯が売れているのか)を調査しています。展開したい美白アイテムがあるけれど価格設定で迷っている方や、逆にブランドの価格帯は決まっているけれどどのアイテムで勝負したらいいかわからない…という方にとって参考になるデータになっています。
これまで継続してレポートをご購入いただいているお客様にも、これから新しく美白スキンケア市場をお調べになりたいお客様にも、満足のいく内容に仕上がっていると思いますので、是非ご検討ください。
―本日は貴重なお話ありがとうございました。
さて、今回インタビューした「2024年 美白スキンケアの市場分析調査」レポートは絶賛発売中です。ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。